試してみる価値はある効果的なブラックボックステスト方法

ユーザーはアプリケーションを使用するとき、状況に応じて柔軟に機能することを期待します。たとえば、ビジネスアナリストはExcelを開くとき、アプリケーションの内部で何が起こっているかを知らなくてもデータを操作できることを望みます。アプリケーションで何かが壊れても、ユーザーがソフトウェアをデバッグして問題を修正することはできません。ブラックボックスモデルが重要なのはそのためです。
ブラックボックステストでは、アプリケーションの内部構造を知ることなく機能を評価します。これにより、エンジニアは、エンドユーザーがアプリケーションをどのように見ているかを知ることができ、それに応じて調整することができます。目標は、エンドユーザーの要件を満たし、悪意のあるユーザーからの外部攻撃に耐えるアプリケーションを提供することです。この記事では、ブラックボックステストの例と、ソフトウェア開発チームがブラックボックステストを使用する方法について説明します。
一般的なブラックボックステスト手法の種類
ブラックボックステストの方法論は、開発チームがデータを入力し、何が起こるかを観察することで、アプリケーションを検証するのに役立ちます。これにより、プロジェクトは順調に進み、ビジネス領域から提供された機能要件に準拠し、アプリケーションのユーザビリティ、パフォーマンス、および機能性に関連する欠陥を特定できます。テスターがブラックボックステストの手法をアプリケーションに適用する一般的な方法を見てみましょう。
機能テスト
機能テストは、アプリケーションが期待どおりに動作することを確認することに重点を置いています。たとえば、機能テストでは、ユーザーがECサイトで買い物カゴに商品を追加するボタンをクリックした場合に何が起こるかを正確に確認します。また、アプリケーションの入力と出力を検証するためにも使用されます。たとえば、数字しか入力できないはずのフィールドに、テスターがテキストを入力しようとして、拒否のプロンプトが表示されることを確認します。
非機能テスト
テスターは非機能テストを使用して、パフォーマンス、スケーラビリティ、セキュリティなど、ユーザーエクスペリエンスにとって重要な基準をアプリケーションが満たしているかを評価します。主な目的は、ネットワーク上の大量のトラフィックのような特定の条件下で、アプリケーションが意図したとおりに動作することを保証することです。非機能テストプロセスは通常、すべての機能テストが完了した後に実行されます。
回帰テスト
開発者は、テストプロセス中に発見された欠陥に対する修正を実装しなければならないことがよくあります。アプリケーションの修正は、アプリケーション内の修正していない他の機能に影響を与える可能性があります。回帰テストは、アプリケーションのあるモジュールに対するアップデートが、他のモジュールのパフォーマンスに影響を与えないことを保証するのに役立ちます。これは、アプリケーションの内部構造に関する知識なしで実施されます。
試すべき 4 つのブラックボックステスト技法
開発チームとテスターは、定義された要件に対してアプリケーションを検証し、ユーザビリティの問題をチェックするために、複数のブラックボックステスト技法を使用します。詳細に入る前に、最も一般的な方法をいくつか見てみましょう。
- 要件レビュー:開発チームは、ビジネスステークホルダーから提供されたアプリケーション要件をレビューすることから始めます。要件レビューのドキュメントは、ユーザーがアプリケーションに期待することを網羅し、テストケースを開発するための基礎を形成する必要があります。
- テストケース:テストケースは、特定の入力または条件を対象とし、アプリケーションのユーザビリティ、機能性、パフォーマンスを事前の知識なしで評価します。開発チームが使用するテストケースの例としては、入力範囲の境界を設定するものや、ユーザーが有効な認証情報を入力したときにのみログインできることを検証するものなどがあります。
- 不具合の記録と報告:テスターは、結果を再現するための手順、期待されたこと、発生した現象など、テスト中に発見された問題を文書化する必要があります。そして、その情報を開発チームに渡して問題の解決を依頼します。
1. 同値分割:グループ化されたテストケース
このブラックボックステスト技法では、入力データを同様の振る舞いを示すクラスまたはパーティションに分割します。同値分割は、アプリケーションを徹底的にテストするために必要なテストケースを削減するために使用されます。この方法は、さまざまな入力、出力、および値をテストするために使用できます。たとえばテスターは、アプリケーションが拒否すべき無効なデータだけを含むパーティションを設定できます。
ある 1 つのパーティションからの入力が期待どおりに実行された場合、テスターはそこに含まれる他の値も成功することを期待します。ただし、データの一部が失敗すると、クラス内の他の情報も失敗する可能性が高くなります。
同値分割をおこなうには、開発チームはアプリケーションが受け入れる可能性のあるすべての入力を決定する必要があります。次に、アプリケーションの要件を使用して、有効な入力のクラスと無効な入力のクラスを作成する必要があります。最後に、テスターは各同値クラスから 1 つの値を選択してテストする必要があります。
以下は、同値分割を使用したブラックボックステストの例です。
数値入力:テスターは、数値入力フィールドがユーザーの年齢を1~100の範囲でのみ受け入れることを確認したいと考えています。そのため、1~100の範囲の数値と、100より大きく200までの範囲の数値の2つの同値クラスを設定します。テスターは、それぞれのクラスの任意の数値(32や108など)をテストして、アプリケーションが設計どおりに各値を受け入れたり拒否したりするかどうかを確認できます。
テキスト入力:テスターは、Webサイトのテキストフィールドが5文字以上20文字以下のユーザー名だけを受け入れることを確認したいと考えています。そのため、2つの同値クラスを作成します。有効なクラスには定義された範囲内の名前が含まれ、もう1つのクラスには短すぎる名前(0~4文字)または長すぎる名前 (21文字以上) が含まれます。
2. 境界値解析:エッジケーステスト
テスターは境界値分析を使用して、アプリケーションの入力領域の境界付近の入力値を特定し、テストします。その目的は、プログラムがその値を適切に処理できないために、エラーにつながる予期せぬ動作を引き起こす可能性のある値を見つけることです。このタイプのブラックボックス テストは、アプリケーションの堅牢性と信頼性を向上させます。
境界値分析の重要な概念には以下のようなものがあります。
- 境界点:同値パーティションの端にある値。たとえば、1~100のみを受け入れる数値入力フィールドの場合、境界点は100になります。
- 有効な境界点:入力フィールドに受け入れられる許容範囲内の値。
- 無効な境界点:入力フィールドに受け入れられる値の許容範囲外にある値。
ブラックボックステストで境界値分析を使用する例としては、数値入力範囲をテストする場合が挙げられます。テスターは境界値とテストケースを作成し、上限 (たとえば、99(有効)、100(有効)、101(無効) と下限((たとえば、0(無効)、1(有効)、2(有効) をテストするデータをテストケースに含めます。
日付入力フィールドもその一例です。入力フィールドが2024年の日付だけを受け入れる必要がある場合は、テスターは下限より下(例:2023/12/31)、下限(2024/01/01)、下限より後(2024/01/05)に境界値を作成します。また、有効なデータと無効なデータ(例: 2024/12/24、2024/12/31、2025/01/01)を使用して上限をテストする必要があります。
3. デシジョンテーブルのテスト:ロジック検証
デシジョンテーブルのテストでは、テスターがさまざまな入力の組み合わせを入力した後のアプリケーションの動作を検証します。複雑なビジネスロジックアプリケーションを評価し、複数の入力条件を受け入れるのに役立ちます。デシジョンテーブルは、どのような運用シナリオに対しても、可能なすべての入力の組み合わせを確実にカバーできるようにするのに役立ちます。
デシジョンテーブルは原因と結果の表とも呼ばれ、すべての潜在的な入力とそれに対応する出力を表します。デシジョンテーブルの各列には、入力条件の一意の組み合わせが含まれ、各行にはそれらの条件が発生したときに生じるルールまたはアクションが含まれます。列と行が交差する場所は、条件が真か偽かを示すほか、テスターが実行すべきアクションを示します。
デシジョンテーブルの主な構成要素は以下のとおりです。
- 条件:テスト結果に影響する変数または条件を入力します。
- アクション:さまざまな条件の組み合わせから生じる可能性のある潜在的なアクションまたは出力。
- ルール: 一意の条件の組み合わせと、それに対応するアクション。
開発チームは、結果に影響を与える条件と、結果として生じる可能性のあるアクションを列挙することで、デシジョンテーブルを作成できます。各条件の潜在的な値または状態(例:はい/いいえ、真/偽)を決定します。次に、すべてのシナリオをカバーするさまざまな選択肢を設定してルールを作成し、すべてのルールに対して取るべきアクションを定義します。最後に、すべての条件、選択肢、ルール、およびアクションをテーブル構造に整理します。
4. 状態遷移テスト:動的動作テスト
このブラックボックス的アプローチは、さまざまな入力やイベントに応答しながら状態間を移動する際のシステムの動作を検証します。これは、状態が現在の入力と過去に入力された履歴値に依存するアプリケーションをテストする場合に最も効果的です。
状態遷移テストの重要な構成要素には、以下のようなものがあります。
- 状態:オブジェクトが条件を満たしたり、アクティビティを実行したり、イベントを待機したりできる状況。
- 遷移:アプリケーションの条件またはイベントがトリガーされると、ある状態から別の状態への移行が発生します。
- イベント:遷移を引き起こすアクション。
- アクション:状態遷移によって発生する操作。
開発チームは、ATMで状態遷移テストを適用するかもしれません。テスターは、ユーザーがカードを挿入したり、正しい暗証番号や不正な暗証番号を入力したり、トランザクションを実行したりするなどの条件下でATMの遷移を確認するためのテストを設定します。また、ユーザーがユーザーIDとパスワード(有効なデータと無効なデータ)を入力したり、システムからログアウトしたりするなどの機能を実行するときの遷移を確認するためのテストケースを作成することもあります。
ブラックボックステストとホワイトボックステストの最適な使用法
包括的なソフトウェア品質を達成するためには、アプリケーションの内部コードに関する知識を含むブラックボックステストとホワイトボックステストの両方が必要です。ブラックボックステストはソフトウェアの外部動作に焦点を当て、ホワイトボックステストは内部ロジックとコード構造に焦点を当てます。
ブラックボックステストは、テスターが次のことを行う場合に最適です。
- 要件を検証する
- ユーザー受け入れテスト (UAT) がユーザーのあらゆるニーズを満たすようにする
- 新しいモジュールを既存のソフトウェアに統合して、問題なく動作するかどうかをテストする
ホワイトボックステストは、テスターが次のことを行う場合に最適です。
- 単体テストを実施し、さまざまなコンポーネントがさまざまな条件下で正しく動作するようにする
- 異なるモジュール間のデータフローをテストする
- コードカバレッジ分析を実施し、すべてのコードセクションのテストを確実に実行する
この記事は、開発元 Ranorex 社 Blog 「Effective Black Box Testing Methods You Need to Try」2024年11月7日の記事を基に翻訳したものです。)