Playwright と Ranorex の違い
Webアプリケーションのテスト自動化において、従来ではオープンソースの代表的なツールとしてSeleniumがもっともよく挙げられていましたが、最近では、Playwrightが注目を浴びています。
今回の記事では、Playwrightにフォーカスし、弊社で取り扱っている有償ツールのRanorexとの違いから、適切なツール選びのポイントについて紹介します。
Playwrightとは?
Microsoftによって開発されたオープンソースの自動化ツールで、Webアプリのテストを効率的に自動化することができます。複数のブラウザーをサポートし、JavaScript、TypeScript、Python、C#など複数の言語を使用して豊富な機能を活用できます。モダンなWebアプリケーションのテストやブラウザーの自動化に最適であり、近年注目を集めています。
Playwrightの特長
Playwrightは、クロスブラウザー対応や高速な信頼性のテスト、ヘッドレスブラウザーのサポートなど、多彩で便利な機能を提供しています。さらに、新機能のPlaywright MCPを導入すれば、AI機能を活用してコード生成を容易におこなうことができます。このAIによるコード生成は、自然言語の指示に基づいてコードを生成し、ブラウザー自動化テストなどを効率的に実行できるため、注目を浴びています。
2024年頃からダウンロード数が急速に増加し、現時点(2025年10月)では断トツでトップになっています。この成長は、AI搭載のPlaywright MCPがこの時期にリリースされたことによるものと考えられます。※npm trends サイト参照
PlaywrightとRanorexの違い
ここでは、オープンソースの自動化ツール「Playwright」と有償の自動化ツール「Ranorex」の違いについて説明します。
Ranorexは、弊社(テクマトリックス株式会社)で取り扱っており、テスト対象アプリの画面操作をおこなうだけで簡単にテストを作成できるため、テスト初心者でも扱いやすいUIテスト自動化ツールです。
Ranorexの特長などの製品紹介資料は以下からダウンロードいただけます。
テスト対象テクノロジー
- Playwright
Webブラウザー:Chrome、Chromium、Edge、Firefox、Safari
- Ranorex
デスクトップアプリ:多くの3rdパーティー製コントロール (WinForms、WPF、Visual Basic、Win32など)
Webブラウザー:Chrome、Chromium、Edge、Firefox
モバイルアプリ:Android/iOS実機デバイスで動作するネイティブ・Web・ハイブリッドアプリ
※Ranorexが対応しているテクノロジーは、こちらをご参照ください。
環境構築
- Playwright
IDEの用意、Node.jsやPlaywrightのインストール、プロジェクトの設定などが必要です。
- Ranorex
インストーラーを使用してマシンにインストールするだけですぐに利用できます。
動作の軽さ
- Playwright
レコーディングやテスト実行時の動作は非常に軽く、素早くテストがおこなえます。
- Ranorex
比較的に軽いですが、アプリ画面内のUI要素数や画面構成により異なります。
テスト作成
- Playwright
ソースコードベースですが、レコーディング機能を利用して自動生成することもできます。
- Ranorex
レコーディングベースですが、コード記述による機能拡張もできます。
シナリオの修正・変更
- Playwright
自身でテストコードを確認して、修正・変更をおこないます。
- Ranorex
視覚化されたテストシナリオをGUI操作で修正・変更をおこないます。
オブジェクト認識
- Playwright
HTMLタグの属性をベースに要素を識別します。レコーディング時にはテキストやID属性を使用して要素が取得されることが多いです。XPathを使って認識することもできます。
- Ranorex
Webアプリの場合、DOM要素の構造から、HTMLの階層やタグの属性をもとに、RanoreXPathで識別します。デスクトップ・モバイルアプリでは、アプリの内部構造やプロパティ情報などで識別します。RanoreXPathは、XPathをベースとした独自のパスとなり、一意にオブジェクトを特定しやすい情報が使用されます。
レポート生成
- Playwright
コマンドライン実行や環境構築することで、レポート生成ができます。
- Ranorex
特に設定は必要なく、デフォルトでレポートが生成されます。
また、PDF、HTML、CSVファイルなど様々な形式でレポート生成でき、テスト実行時の動画も保存できます。
サポート体制
- Playwright
オープンソースツールであるため、有志のWebサイト等をもとに自身で使い方を学習する必要があります。
PlaywrightとRanorexの比較表
| Playwright | Ranorex | |
|---|---|---|
| テスト対象テクノロジー | Webアプリ | デスクトップ・Web・モバイル アプリ |
| 環境構築 | IDE、Node.js、Playwrightのインストール・設定など | インストーラーを使用した Ranorexのインストールのみ |
| 動作の軽さ | 非常に軽い | 比較的軽い (アプリ画面内のUI要素数や画面構成により異なる) |
| テスト作成 | コードベース (レコーディング機能もあり) | レコーディング |
| シナリオの修正・変更 | コードベース | 直観的なGUI操作 |
| オブジェクト認識 | テキスト・ID属性などで識別 (手作業でXPathに修正も可能) | ロケーションパス (XPathをベースとした独自のパス方式(RanoreXPath)) |
| レポート生成 | あり (コマンドライン実行などで対応) | あり |
| サポート体制 | なし | あり |
PlaywrightとRanorexのどちらを選ぶべきか
導入費用を抑えたい場合は「Playwright」
Playwrightは、オープンソースであり、無料で利用できるため、導入コストを最小限に抑えることができます。また、コマンドライン実行や環境構築が比較的容易であるため、手軽に導入しテストを開始することができます。初期投資を抑えて気軽にテスト自動化を始めたい場合はPlaywrightがおすすめです。
軽い動作でテスト実行したい方は「Playwright」
Playwrightは、高速かつ効率的にテストを実行できるため、迅速な開発サイクルを実現します。素早くテストをおこないたい環境や、短いリリースサイクルを持つプロジェクトには、Playwrightがおすすめです。
デスクトップアプリとの連携もテストしたい方は「Ranorex」
Ranorexは、デスクトップアプリケーションや多様な3rdパーティー製コントロールをテストする機能を提供しており、さまざまなテクノロジーに対応しています。そのため、デスクトップアプリとの連携を重視する場合は、Ranorexがおすすめです。
非エンジニアチームでは「Ranorex」
Ranorexは、視覚化されたテストシナリオとGUI操作を通じてテストをおこなうことができます。テクニカルな知識がない方や非エンジニアでもテストを作成・メンテナンスしやすいため、そのようなチームでテストをおこなう場合は、Ranorexがおすすめです。
手厚いサポートを受けたい方は「Ranorex」
Ranorexは、PoCやテクニカルサポート、ハンズオン、有償トレーニング、テスト支援サービスなど、幅広いサポート体制を提供しています。運用やトラブルシューティングにおいて手厚いサポートを受けることで、学習時間や問題解決するための無駄な時間を削減できるため、Ranorexがおすすめです。
Ranorex は無償で14日間、
すべての機能をお試しできます!
14日間の無償体験版をお使いのPCにインストールすることで、すぐに自動化をはじめられます。
自動化ツールを検討されている方は、ぜひお試しください。
まとめ
最適なテストツールを選定する際、導入費用やテスト作成・メンテナンスの容易さ、トラブルシューティング時の対応などを考慮する必要があります。
Playwrightはオープンソースで導入費用を抑えられ、気軽に自動化を始められますが、テストスクリプトがコードベースのため、コーディング経験がない方は使い慣れるまでに時間がかかりやすいです。一方で、RanorexはGUIIベースで簡単にテスト作成・メンテナンスがおこなえ、手厚いサポート体制も整っているため、運用時の無駄なコストの削減が期待できます。
これらの自動化ツールの特徴を踏まえ、長期的に利用した場合の自動化の効果を比較検討して、最適なツールをご選択ください。

